✅声劇の説明
『煙の向こうに、君が消えた』は、たばこをモチーフにした二人の掛け合い声劇です。
舞台は静かな夜、灰皿の中で焦げていく記憶と、まだ燻り続ける嘘。
一人は忘れたくない過去に、もう一人は思い出に縋ることで生きている。
「たばこ」は象徴です。
それは、依存。逃避。腐蝕。そして、ゆっくりと心を蝕む毒。
本作では、「汚染」「黒い」「短命」「刺す」といった言葉を織り交ぜ、
“人はどうして手放せないものほど、自分を壊していくのか”という問いに挑みます。
最後には、どれだけ想っても、前進しても、人間の弱さが足を引きずり込んでいく——。
それは「救いのない希望」です。
この作品は、静かに心の底で刺さり続ける物語です。
- 商用利用可能(フリー台本です。さまざまな場面でご使用ください。)
- バッドエンドな作品です。
- 動画化・音声化・朗読など、形式自由。
- 事前連絡やクレジット表記は任意ですが、SNSなどで当ページをご紹介いただけると励みになります。
『煙の向こうに、君が消えた』——たばこに溶ける言葉と嘘の声劇台本|二人掛け合い・バッドエンド・約3000字
✅本編
タイトル:煙の向こうに、君が消えた
【登場人物】
ユウ(喫煙者。過去を忘れられない)
ナオ(元恋人。既に故人。幻か残響か)
1|問い:なぜ、人は煙を吸うのか
ユウ:
(ライターの音)
……こんなもん、吸っても何も変わらねえって分かってるのに。
また火をつけてる俺がいる。バカだよな。
ナオ:
吸いたいから、吸うだけでしょ?
理由なんていらない。必要なのは、煙と孤独だけ。
ユウ:
……まだ、いるんだな。俺の中に。
ナオ:
うん。煙と一緒に溶けて、まだ、ここにいるよ。
忘れてくれない限り、私は消えない。
2|依存と腐蝕
ユウ:
お前がいなくなってから、毎日一箱ずつ増えていった。
肺が黒く染まっていくのが、分かる気がしてさ。
ナオ:
私が死んでから、君も少しずつ死んでるの。
目に見えない毒を、自分に流し込むように。
ユウ:
誰かが言ってた。たばこってのは、「自分を殺す緩やかなナイフ」だってさ。
ナオ:
でも優しいでしょ?煙って。
苦しくないように包んで、少しずつ、少しずつ壊してくれる。
3|過去は燃えない
ユウ:
お前の匂いと声と、最後に言ったあの言葉。
全部、燃やして忘れたかったんだ。
ナオ:
でも燃えなかった。でしょ?
灰にすらなれない記憶ってあるの。
焦げるだけで、ずっと残る。
ユウ:
そうだよ。
だからまた、火をつけてる。
たばこに、じゃなくて、あの夜に。
4|昇華されない感情
ナオ:
ねえ、ユウ。
君は生きてるつもりかもしれないけど、
私から見れば、もう死んでる。
ユウ:
……そうかもしれないな。
呼吸してても、考えてても、全部、お前のことで埋め尽くされてる。
ナオ:
それは愛じゃないよ。執着。依存。汚染。
私も、君も。
ユウ:
だけど、それしかないんだ。
生きていく理由が、他にない。
5|バッドエンド
(沈黙)
ユウ:
(たばこを吸う音)
なあ、ナオ。
……もう一回だけ、ちゃんと話して、終わりにしようと思ってた。
でも無理だな。
お前が消えた理由を、まだ理解してない。
俺のせいか?
俺のたばこの匂いが、嫌だったか?
ナオ:
違うよ。
君が何をしても、私たちはもう、終わってたの。
どこかで、きっと。
ユウ:
それでも、信じてた。
この煙が、またお前に届くかもしれないって。
そんなバカな希望に、しがみついてた。
ナオ:
……ねえ、ユウ。
たばこ、やめて?
ユウ:
……ごめん。
これだけは、やめられないんだ。
お前を、忘れたくないから。
(煙が立ち上る音)
(終)
声劇台本サイトと相性抜群!収録・創作に役立つアイテムをご紹介
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声劇台本を書くにあたって参考にした書籍のご紹介
僕が作成している声劇台本には、いくつかの作品や作家から影響を受けた部分があります。たとえば、村上春樹の静かで深く沈んでいくような内面描写や、夢と現実のあわいを漂う感覚。太宰治の人間の弱さや孤独に向き合う視点、そして新海誠作品のような、言葉にならない想いを風景や間で表現する技法。これらの作家や作品から受けたインスピレーションを、自分なりに消化しながら台本へと落とし込んでいます。読む方や演じる方にとっても、どこかでそれらの面影や空気感を感じていただけたら嬉しいです。物語の背後には、こうした文学や映像作品の影がひっそりと息づいています。
この声劇台本を見つけてくださって、ありがとうございます!作品を通して、少しでも何かを感じていただけたら嬉しいです。今後も定期的に新しい声劇台本を公開していく予定なので、ぜひ次回作も楽しみにしていてください。当サイトで公開している台本はすべてフリー台本です。特に使用ルールなどはありませんが、ご利用いただいた際には、SNSや配信アプリ、動画の概要欄などでこの台本ページをご紹介いただけるととても励みになります。今後とも、どうぞよろしくお願いします。
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