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『不謹慎、それでも僕らは笑った』――黒く濁る正義と感情の境界線|声劇台本・二人掛け合い・バッドエンド・3000文字

✅声劇の説明

この作品は「不謹慎」という言葉が生む“沈黙”と“攻撃”を主軸に、二人の掛け合いで繰り広げられる心理劇です。社会が「正しさ」を振りかざし、人の感情が置き去りにされるとき、本当に不謹慎なのは誰なのか?という問いを孕んでいます。

黒く染まった感情、刺すような言葉、短命な理解――そんな不安定なバランスの上で成り立つ、日常の崩壊。その中で交わされる「冗談」と「共感」は果たして赦されるのか。それとも、ただの愚かさなのか。

最後には、人間らしさすら否定されるようなバッドエンドへと至り、聞き手に「生きる意味」そのものを問いかける作品です。表層だけでなく、その裏に潜む感情と社会の歪みを感じ取っていただければ幸いです。

  • 商用利用可能(フリー台本です。さまざまな場面でご使用ください。)
  • バッドエンドな作品です。
  • 動画化・音声化・朗読など、形式自由。
  • 事前連絡やクレジット表記は任意ですが、SNSなどで当ページをご紹介いただけると励みになります。

『不謹慎、それでも僕らは笑った』――黒く濁る正義と感情の境界線|声劇台本・二人掛け合い・バッドエンド・3000文字

【声劇台本】
タイトル:『不謹慎、それでも僕らは笑った』
登場人物:

  • ミナト(男/沈黙を選ぶ者)
  • ナギサ(女/不謹慎を告発する者)

■冒頭:問い(導入)

ナギサ:
ねぇ、ミナト。
「それ、不謹慎だよ」って、誰が最初に言い始めたんだろうね。

ミナト:
……たぶん、言わなきゃ安心できない人がいたんだよ。
誰かを刺すことで、自分を守った。

ナギサ:
優しさみたいに装って、人を傷つけてるんだね。
ほんと、黒いよ。

ミナト:
でも、言葉ってそういうもんじゃん?
汚れてない感情なんて、幻想だよ。

■第一幕:揺れ動く正義

ナギサ:
あのときのこと、覚えてる?
ニュースでさ、子どもが亡くなった事故。
私、泣いてるのに……君、笑ったよね。

ミナト:
笑ってた、んじゃない。
ただ……麻痺してたんだと思う。

ナギサ:
「よくある話だね」って。
それ、笑ってるのと変わらないよ。

ミナト:
毎日誰かが死ぬのに、いちいち全部に泣けないよ。
じゃなきゃ、感情が持たない。

ナギサ:
私はね、それでも泣きたいんだよ。
世界が黒くても、心は白でいたいの。

ミナト:
その白、ほんとに“純粋”だと思ってる?
誰かを「不謹慎」って責めたとき点く、灯りの色、見たことある?

ナギサ:
……見たくないだけかもしれない。

■第二幕:怒りと共鳴

ミナト:
SNSでも、ニュースでも、誰かが「不謹慎だ!」って騒ぐ。
けどさ、その声のほとんどが、刺すための刃なんだよ。

ナギサ:
でも、それを言わなきゃ、誰かが無神経に踏み続けるじゃん。
痛いのに、声をあげられない人がいる。

ミナト:
だったら、踏まれた本人が言えばいい。
「代弁」は、時に毒だよ。

ナギサ:
……優しさって、難しいね。

ミナト:
うん。
たいていは、自己満足。

■第三幕:笑いと崩壊

ナギサ:
私、君のその“笑い”が怖かった。

ミナト:
笑ってないと、死んじゃう気がしたんだ。

ナギサ:
不謹慎な冗談も、見て見ぬふりの沈黙も。
本当は、全部、壊れてたんだよね。

ミナト:
壊れたまま、生きてたんだ。
笑いながら。

ナギサ:
じゃあ、もう笑わないでよ。
せめて、私の前では。

ミナト:
ごめん。
でも、きっとまた笑うよ。
それしか、生き方を知らないから。

■第四幕:失われた言葉たち

ナギサ:
人間って、こんなに不器用だったっけ?

ミナト:
うん。
言葉を持ったぶん、余計に壊れやすくなった。

ナギサ:
誰かを傷つける言葉って、麻薬みたい。
やめたくても、やめられない。

ミナト:
傷つけないように気をつけてても、
「気を使いすぎて疲れた」って言われるしね。

ナギサ:
なにを言っても、結局“間違い”になるんだ。

ミナト:
なら、正しさって何だろうね。

■第五幕:終焉と否定

ナギサ:
ねぇ、ミナト。
私たち……誰のことも救えなかったね。

ミナト:
うん。
自分すら救えなかった。

ナギサ:
正義に染まるふりして、ほんとは真っ黒。

ミナト:
だから僕は、今日も笑ってる。
濁った空気のなかで。腐ったユーモアで。

ナギサ:
……もう、生きてる意味なんて、どこにもないよ。

ミナト:
それ、不謹慎だよ。

ナギサ:
ふふっ……ほんとだ。
でもね、不謹慎じゃない言葉なんて、たぶん、どこにもない。

ミナト:
それでも、僕らは生きる。
誰かを傷つけてでも、生きてしまう。

ナギサ:
……罪だね。

ミナト:
うん。
人間って、そういう生き物なんだと思う。

【終】

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一人称単数 文春文庫 村上春樹(著)
晩年 (新潮文庫)
晩年 新潮文庫 太宰治(著)
小説 言の葉の庭 (角川文庫)
小説 言の葉の庭 角川文庫 新海誠(著)

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