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御見逸れしました 〜愛と罰の隘路で〜|声劇台本・掛け合い・バッドエンド

✅声劇の説明

「御見逸れしました」——それは丁寧すぎる皮肉であり、敬意の仮面をかぶった断絶の言葉。
この声劇台本では、ふたりの登場人物が“過去に向き合う”という形で、愛憎と後悔の中をゆっくりと沈んでいきます。

テーマは「御見逸れしました」。
舞台は、かつて何かを共有していたふたりの再会。
物語は“問い”から始まり、どうしようもないほど澱んだ感情を交わすうち、言葉は毒を含み、声は刺さり、沈黙がすべてを決壊させていく——。

人間ならではの問いかけ、「許されない過去はどこへ行くのか?」に対し、ふたりが選ぶのは赦しではなく、“確認”。
それぞれの言葉が相手の胸に小さく突き刺さるその瞬間、私たちもまた、誰かの心に爪痕を残していないかと、思わず立ち止まってしまうでしょう。

汚染、黒い、短命、刺す、感情の限界点。
そこには救いがないのに、確かに「声」が生きている。
そんな声劇をお届けします。

  • 商用利用可能(フリー台本です。さまざまな場面でご使用ください。)
  • バッドエンドな作品です。
  • 動画化・音声化・朗読など、形式自由。
  • 事前連絡やクレジット表記は任意ですが、SNSなどで当ページをご紹介いただけると励みになります。

【声劇台本】

『御見逸れしました 〜愛と罰の隘路(あいろ)で〜』

◆登場人物◆

  • 遥(はるか):感情をうまく出せない女性。過去を引きずり、言葉で自分を守ろうとする。
  • 蓮(れん):かつて遥と深く関わった男性。淡々と話すが、心の奥には怒りと後悔が渦巻いている。

【冒頭:静かな公園のベンチ。遠くでセミが鳴いている。】

「こんな時間に来るなんて、ちょっと意外だった」
「呼んだのは、そっちじゃないか」
「……そうだった。私が呼んだんだっけ」
「で、用件は?」
「聞きたいことがあって……あのとき、私が……刺したこと、まだ覚えてる?」
「忘れるわけないだろ。短命だったのは、お前の“優しさ”のせいだ」
「ふふ、相変わらず言い方が冷たいね」
「お前が殺したのは、俺の感情だ。まだ生きてるのが不思議なくらいだ」
「生きてる意味なんて、誰にでもあると思ってた。でも、あれから私は……」
「“御見逸れしました”って言いたいのか?」
「……うん。たぶん、あのとき私は本当に大事なものを見誤った」

【回想:過去の部屋、距離を取って向き合うふたり】

「お前の声は、いつも曖昧だった。あったかそうで、実は冷たかった」
「声ってさ、抱えてるものが増えると汚れていくんだね。どす黒くなって、刺さるみたいに」
「その通りだ。お前の優しさは、俺の中を腐らせた」
「どうしても言えなかったんだ。“ごめん”も、“ありがとう”も、“好き”さえも」
「じゃあ、何で今さら呼んだんだ」
「……もう一度、君に刺されたかった」
「そんなこと言う奴、初めてだ」
「初めてだらけだったよ、君といた時間は」

【現在:夜の公園、ぼんやりした照明の下】

「なあ遥。お前にとって“赦し”って何だ?」
「自分を許すこと。でも、私にはもう遅いみたい」
「……じゃあ、俺が許さなきゃいけないのか?」
「違う。君には、“見逃して”ほしかっただけ」
「御見逸れしました……ってことか」
「うん。最後くらい、その嘘を聞きたかった」

【蓮、ゆっくり立ち上がる】

「お前のこと、もう見えないよ」
「うん、それでいい」

【沈黙。蝉の声だけが響く】

「……ねえ蓮。生きてる意味って、本当にあるのかな」
「あるって言ったら、お前は笑う?」
「泣くと思う」
「……御見逸れしました」

【照明が落ちる】
【終幕】

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声劇台本を書くにあたって参考にした書籍のご紹介

僕が作成している声劇台本には、いくつかの作品や作家から影響を受けた部分があります。たとえば、村上春樹の静かで深く沈んでいくような内面描写や、夢と現実のあわいを漂う感覚。太宰治の人間の弱さや孤独に向き合う視点、そして新海誠作品のような、言葉にならない想いを風景や間で表現する技法。これらの作家や作品から受けたインスピレーションを、自分なりに消化しながら台本へと落とし込んでいます。読む方や演じる方にとっても、どこかでそれらの面影や空気感を感じていただけたら嬉しいです。物語の背後には、こうした文学や映像作品の影がひっそりと息づいています。

一人称単数 文春文庫 村上春樹(著)
晩年 (新潮文庫)
晩年 新潮文庫 太宰治(著)
小説 言の葉の庭 (角川文庫)
小説 言の葉の庭 角川文庫 新海誠(著)

この声劇台本を見つけてくださって、ありがとうございます!作品を通して、少しでも何かを感じていただけたら嬉しいです。今後も定期的に新しい声劇台本を公開していく予定なので、ぜひ次回作も楽しみにしていてください。当サイトで公開している台本はすべてフリー台本です。特に使用ルールなどはありませんが、ご利用いただいた際には、SNSや配信アプリ、動画の概要欄などでこの台本ページをご紹介いただけるととても励みになります。今後とも、どうぞよろしくお願いします。

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seichan

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