🎭 台本説明
声とは、誰のものなのか──。
誰かのために出したはずの声が、知らない誰かに届いてしまう時代。
それは“つながり”ではなく、“汚染”だったのかもしれない。
この台本は、声を愛した者と声を失った者の二人の物語。
一方的な執着と、そこから逃げられなかった心。
拡がるネットの海に、切り取られた「声」が永遠に残り続ける。
その悲しみと、どうしようもない後悔。
そして最後に残るのは、沈黙だけ──。
※フリー台本/改変OK/クレジット任意です
- 商用利用可能(フリー台本です。さまざまな場面でご使用ください。)
- バッドエンドな作品です。
- 動画化・音声化・朗読など、形式自由。
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『その声は、毒だった。』|声をテーマにした二人声劇・バッドエンド台本
📝声劇台本|二人掛け合い(約3000字)
登場人物
- ヒトミ(声を失いたくない女)
- ナオ(声にとり憑かれた男)
冒頭
ヒトミ「ねえ、“声”って、誰のものだと思う?」
ナオ「……は?」
ヒトミ「自分が出してるのに、誰かの耳で決まるの、不思議じゃない?」
ナオ「他人の鼓膜を渡って初めて存在する“自分”ってか……皮肉だよな」
ヒトミ「それでも私、声が好きだった。私の“声”が、私の全部だと思ってたのに」
ナオ「その声、汚れてるよ。もう……俺のせいで」
中盤
ヒトミ「ナオ……どうして私の声を録ったの?」
ナオ「君が欲しかったから。声だけでよかった。姿も仕草もいらない。……声が、一番君だったから」
ヒトミ「それを勝手に配信して。勝手に拡げて……私、世界中でバラバラに“聞かれてる”。刺されるみたいだった」
ナオ「そうか。刺したのか、俺の“再生ボタン”が……」
ヒトミ「あの日から、私の声は私じゃなくなった。誰かの快楽のための音。私の感情を乗せたはずの“ことば”が、汚染された音波になった」
ナオ「……ごめん。でも、もう手遅れなんだよ。君の声はネットに溶けた。削除もできない。永遠に、誰かの耳に届く」
クライマックス
ヒトミ「じゃあ、どうすればよかったの? 自分の声を、自分のままでいさせるには?」
ナオ「わからない。俺も……壊れてた。君の声が恋しくて、それしか救いがなかった」
ヒトミ「ナオ……ねえ、今、私の声がどう聞こえる?」
ナオ「……震えてる。濁ってる。少し、泣いてる」
ヒトミ「そう。もう私は、私の声に触れられない。自分の喉から出たものが、自分の心を傷つけてくるの」
ナオ「ヒトミ、ごめ──」
ヒトミ「もういい。あなたの鼓膜に、この“声”を刺しつけて、終わりにしたい」
結末
ナオ「最後に……もう一度だけ、話して」
ヒトミ「……“あなたに出会わなければ、私の声は私のままでいられた”」
ナオ「ありがとう。……やっと、君の声が終わる」
【SE:無音 → 薄い息 → フェードアウト】
声劇台本サイトと相性抜群!収録・創作に役立つアイテムをご紹介
声劇台本の制作や投稿を日々行っていると、「実際に演じてみたい」「録音して公開してみたい」と思う方が多いはずです。そんな皆さんの活動をより豊かに、より本格的にするためのおすすめアイテムをご紹介します。
僕自身も、声劇台本を書くだけでなく、実際に音声化された作品を聴いたり、簡単な編集をしたりする中で、「このマイク良かった!」「この本は脚本の書き方に参考になった!」と思えるものをいくつかピックアップしました。
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声劇台本を書くにあたって参考にした書籍のご紹介
僕が作成している声劇台本には、いくつかの作品や作家から影響を受けた部分があります。たとえば、村上春樹の静かで深く沈んでいくような内面描写や、夢と現実のあわいを漂う感覚。太宰治の人間の弱さや孤独に向き合う視点、そして新海誠作品のような、言葉にならない想いを風景や間で表現する技法。これらの作家や作品から受けたインスピレーションを、自分なりに消化しながら台本へと落とし込んでいます。読む方や演じる方にとっても、どこかでそれらの面影や空気感を感じていただけたら嬉しいです。物語の背後には、こうした文学や映像作品の影がひっそりと息づいています。
この声劇台本を見つけてくださって、ありがとうございます!作品を通して、少しでも何かを感じていただけたら嬉しいです。今後も定期的に新しい声劇台本を公開していく予定なので、ぜひ次回作も楽しみにしていてください。当サイトで公開している台本はすべてフリー台本です。特に使用ルールなどはありませんが、ご利用いただいた際には、SNSや配信アプリ、動画の概要欄などでこの台本ページをご紹介いただけるととても励みになります。今後とも、どうぞよろしくお願いします。
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