🎭 台本説明
この作品は「神とはなにか?」という問いから始まる、女性二人の終末的な対話劇です。
かつて信仰によって救われたはずの人間が、神を模倣し、崇拝し、そして壊してゆく過程を、濃密な言葉の応酬で描いています。
テーマは「信仰」「裏切り」「自己否定」。
舞台は閉ざされた聖域、登場人物は“神を信じた少女”と“神になった少女”。
信仰は人を救うのか、それとも汚すのか?
救済は刺すような痛みとともに訪れ、二人の運命は音もなく崩壊へと向かいます。
フリー台本。朗読・動画・音声化すべてOK。改変も自由。クレジット表記不要です。
- 商用利用可能(フリー台本です。さまざまな場面でご使用ください。)
- バッドエンドな作品です。
- 動画化・音声化・朗読など、形式自由。
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信仰の器、空に沈む|神を信じた少女と神になった少女の終末対話【女性二人掛け合い・声劇台本・バッドエンド】
💥 本文:声劇台本《信仰の器、空に沈む》
A:
ねえ、神さまって、誰が決めるの?
B:
……あんたがそう呼んだから、そうなったんでしょ。
A:
違う。私は信じたかっただけ。誰かじゃなくて、“何か”を。
生きる理由とか、痛みの意味とか、そんなの全部、他人じゃ教えてくれないから。
B:
神に逃げたってことでしょ。
人間のくせに、痛みに耐えきれなくなったからって、責任を丸投げして。
A:
じゃあ、あんたは?
神の座についたその癖に、何も癒せなかった。
ただ刺しただけじゃない、私を。信じてくれた人を。
B:
……刺したんじゃない。
腐ってたんだよ、最初から。
救うふりをして、触れた瞬間、全部、黒く染まってた。
A:
私は、純粋だったのに。
B:
それが、一番怖いんだよ。
信じた者が、いちばん人を壊す。
(間)
A:
神なんて、いなきゃよかった。
そうしたら私は、こんな風に——
あんたの姿を、崇めたりしなかったのに。
B:
わたしだって、選ばれたくなかった。
神なんかにならなければ、
まだ笑って、あなたと一緒に、
泥の中を歩けていたのに。
A:
じゃあ、終わらせてよ。
その“偽りの光”で、全部焼き尽くして。
B:
……できない。
神は、自分を壊すことすら、赦されてない。
(沈黙)
A:
ねえ、聞こえる?
この祈り、まだあなたの中に届く?
B:
もう何も感じないよ。
私の中に残ってるのは、
焦げた翼と、
塩の味しかしない血の味だけ。
A:
だったら、私が神になるよ。
あなたを、赦す神に。
B:
それがいちばん、汚れてる。
(終わりに近づく声)
A:
生きる意味を求めて、私は神を殺した。
でも何も残らなかった。
ただの空っぽだった。
B:
それが、信仰の正体。
器が空っぽになるまで注ぎ続ける。
でも、何も満たされないまま、壊れる。
A:
人間なんて、ずっとそうだったのかもしれないね。
B:
だからこそ、神を作った。
そして、その神に殺されるのを、選んだ。
(静かに)
A:
……もう、声も出ない。
これが、祈りの終わり。
B:
おやすみ、神さま。
あなたが汚したこの世界で、
もう、誰も救われませんように。
(暗転/END)
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声劇台本を書くにあたって参考にした書籍のご紹介
僕が作成している声劇台本には、いくつかの作品や作家から影響を受けた部分があります。たとえば、村上春樹の静かで深く沈んでいくような内面描写や、夢と現実のあわいを漂う感覚。太宰治の人間の弱さや孤独に向き合う視点、そして新海誠作品のような、言葉にならない想いを風景や間で表現する技法。これらの作家や作品から受けたインスピレーションを、自分なりに消化しながら台本へと落とし込んでいます。読む方や演じる方にとっても、どこかでそれらの面影や空気感を感じていただけたら嬉しいです。物語の背後には、こうした文学や映像作品の影がひっそりと息づいています。
この声劇台本を見つけてくださって、ありがとうございます!作品を通して、少しでも何かを感じていただけたら嬉しいです。今後も定期的に新しい声劇台本を公開していく予定なので、ぜひ次回作も楽しみにしていてください。当サイトで公開している台本はすべてフリー台本です。特に使用ルールなどはありませんが、ご利用いただいた際には、SNSや配信アプリ、動画の概要欄などでこの台本ページをご紹介いただけるととても励みになります。今後とも、どうぞよろしくお願いします。
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