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『友達じゃなかったんだね』|女性一人語り・声劇台本・バッドエンド・裏切り・孤独

🎭 台本説明

『友達じゃなかったんだね』は、“友達”という言葉が人を救うことも、壊すこともあるという残酷な真実に向き合った一人語りの声劇台本です。

「親友だと思ってた」「ずっと一緒だと思ってた」――そんな言葉の裏に潜む温度差、期待、すれ違い、そして裏切り。
この作品では、ひとりの女性が過去の友情を回想しながら、徐々に心が汚染され、刺すような言葉でしか感情を処理できなくなっていく様子を描いています。

感情を抑え込んだ静かな語りから始まり、結末は言葉が凶器になる瞬間
バッドエンドだからこそ、演者の声の熱が際立ちます。

人間のやさしさと醜さが混在する「友達」という概念を問い直したい、そんな方に読んでほしい一作です。

  • 商用利用可能(フリー台本です。さまざまな場面でご使用ください。)
  • バッドエンドな作品です。
  • 動画化・音声化・朗読など、形式自由。
  • 事前連絡やクレジット表記は任意ですが、SNSなどで当ページをご紹介いただけると励みになります。

『友達じゃなかったんだね』|女性一人語り・声劇台本・バッドエンド・裏切り・孤独

✅声劇台本『友達じゃなかったんだね』(女性一人/約3000字)

ねえ。
人って、何をもって“友達”って言うんだろうね。

一緒に笑ったら?
誕生日を覚えてくれてたら?
泣いてるとき、となりにいたら?

……それだけで、友達って呼んでいいの?

私はね、あなたのこと、親友だと思ってたよ。
一緒に過ごした時間は、どんなに黒くなった今でも、光ってた。

でも、
あなたは私を、友達だなんて思ってなかったんだよね?

(間)

……いや、わかってたの。ずっと。
私が一方的に追いかけてただけで、
あなたは、いつも誰か別の人と笑ってた。

それでも、
あなたの視界の端に、私が入ってたらいいなって……
その程度の位置でも、必死にしがみついてたんだ。

私の声が、あなたに届くたびに、
「今、少しは必要とされてる」って錯覚できた。
ねえ、こういうの、汚染っていうんだって。

“関係の腐敗”。
見えない毒が、心を黒く染めていくの。
笑ってるふりして、じわじわと、心が腐っていくの。

(笑い)
気づかないふり、上手くなったなあ。
あなたが他の子と呼び捨てで話してるの聞いて、
なんで私のことだけ「さん」づけなのか、すぐに理解したのに。

あなたにとって、私は「外」だったんだよね。
いつも輪の外にいて、でも自分だけは内側にいるつもりでいた。

浅ましいね、私。

……今さらだけどさ、
「私たち友達だよね?」って聞けばよかったのかな。
でも、もし聞いて、「うん」って言われなかったら……
怖くて、何も言えなかった。

怖くて、聞けなかったんだよ。

(間)

ねえ、覚えてる?
私、あの時あなたに手紙を書いたの。
「いつか一緒に旅行しようね」って。
あなたが笑ってくれたあの瞬間、全部、嘘だったの?

……ううん、
笑ってたのは本当だと思う。でも、
私のことを見てたわけじゃなかったんだよね。

あなたはいつも誰かと一緒にいた。
私はいつも、あなたの背中を見ていた。

前を歩いてるあなたの足跡に、
無理やり自分の足をねじ込んで、歩いたフリをしてた。

(小さな声で)
その足跡、もう消えていい?

私、もう誰かの後ろを歩くの疲れちゃった。
友達って、なんだろうね。
何も残らなかったよ。
私の中にあるのは、
刺すような嫉妬、溶けかけた笑顔、ねじ曲がった期待だけ。

(間)

誰かが言ってた。
「友達って、いなくても死なないけど、いたら少しは救われる」って。
でもね、
私には“いない”ってことが、もう死んでることと同じだった。

私は、あなたにとって、友達じゃなかった。
だったら、
私の存在って、なんだったの?

……そういう風に考えちゃう私が、いちばん醜いんだってわかってる。
でも、もう止まらないの。
私の中の何かがずっと、「刺せ」って叫んでる。
言葉でも、沈黙でも、表情でも。
あなたの“やさしさ”を切り裂きたい。

ああ……でももう、いいや。
私、誰かのために生きるの、もうやめる。
“友達”なんて、もういらない。
誰とも繋がりたくない。
誰にも期待したくない。
誰かを信じて、
その結果、自分が腐っていくのは、もうたくさん。

最後に一つだけ。
ごめんね、じゃなくて――ありがとう、でもなくて――
さようなら。

(沈黙)

……ああ、これが、ほんとの孤独なんだね。

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声劇台本を書くにあたって参考にした書籍のご紹介

僕が作成している声劇台本には、いくつかの作品や作家から影響を受けた部分があります。たとえば、村上春樹の静かで深く沈んでいくような内面描写や、夢と現実のあわいを漂う感覚。太宰治の人間の弱さや孤独に向き合う視点、そして新海誠作品のような、言葉にならない想いを風景や間で表現する技法。これらの作家や作品から受けたインスピレーションを、自分なりに消化しながら台本へと落とし込んでいます。読む方や演じる方にとっても、どこかでそれらの面影や空気感を感じていただけたら嬉しいです。物語の背後には、こうした文学や映像作品の影がひっそりと息づいています。

一人称単数 文春文庫 村上春樹(著)
晩年 (新潮文庫)
晩年 新潮文庫 太宰治(著)
小説 言の葉の庭 (角川文庫)
小説 言の葉の庭 角川文庫 新海誠(著)

この声劇台本を見つけてくださって、ありがとうございます!作品を通して、少しでも何かを感じていただけたら嬉しいです。今後も定期的に新しい声劇台本を公開していく予定なので、ぜひ次回作も楽しみにしていてください。当サイトで公開している台本はすべてフリー台本です。特に使用ルールなどはありませんが、ご利用いただいた際には、SNSや配信アプリ、動画の概要欄などでこの台本ページをご紹介いただけるととても励みになります。今後とも、どうぞよろしくお願いします。

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