🎭 台本説明
この声劇『沈む黒に問う』は、人間にとって“失敗”とは何なのかを描いた、二人掛け合いのバッドエンド作品です。
成功を追い、未来を掴もうとするほど、足元から濁った何かが絡みついてくる。
「なぜ人は失敗を許されないのか?」「どこまでが努力で、どこからが欺瞞なのか?」
そんな問いを胸に、二人の登場人物はそれぞれの“正しさ”を抱えて沈んでいきます。
本作は「黒い」「短命」「汚染」「刺す」といった暗く鋭い言葉を織り交ぜながら、
人間性が人間そのものを否定していく、不可逆な破滅と感情の崩壊を描きました。
聴き手に残るのは、ただひとつ、どうしようもない「喪失感」。
声劇・朗読・コラボにも適した構成で、濃密な2人の掛け合いをお楽しみください。
- 商用利用可能(フリー台本です。さまざまな場面でご使用ください。)
- バッドエンドな作品です。
- 動画化・音声化・朗読など、形式自由。
- 事前連絡やクレジット表記は任意ですが、SNSなどで当ページをご紹介いただけると励みになります。
『沈む黒に問う:失敗に呑まれた僕らの終点』|声劇台本・二人掛け合い・バッドエンド
✅声劇台本『沈む黒に問う』
A(男):なあ、失敗って、誰が決めるんだろうな。
B(女):誰かに刺された時点で、もうそれは「失敗」なんじゃない? どんなに必死でも、結果がすべて。
A:俺は、正しかったって思ってる。……少なくとも、あの時までは。
B:うん。そうだね。君は、正しかった。正しすぎた。だから、汚れを知らなかった。
A:「このままじゃダメだ」って思って、足掻いた。
でも足掻けば足掻くほど、黒く染まっていったんだよ。
自分の声も、指も、他人の顔も、全部……汚れて見えた。
B:それはね、君が「綺麗でいたかった」からだよ。
でも現実は、泥水みたいなもの。
綺麗でいようとする人間ほど、先に腐っていく。
A:だったら……だったら、何を信じればよかったんだ。
成功? 夢? 仲間? 努力?
どれも……俺を裏切った。
B:ううん。裏切ったのは、君自身だよ。
君が信じたのは「人間性」じゃなくて、「都合のいい希望」だった。
そしてそれは、脆くて、短命だった。
(間)
A:……もう一度、やり直せると思ったんだよ。
傷だらけでも、心臓が刺されても、
人間って、這い上がれるものだって。
B:でもその傷は、“死にたくなるほど”痛かったんでしょう?
傷は、癒えるかもしれない。でもね、心は腐るの。
何かに刺されて、そのまま時間だけが経てば、腐るのよ。
A:俺は――もう、立てないんだろうか。
どれだけ這っても、どれだけ進んでも、
最後には、足元の黒が引きずり込む。
B:うん。君は生きてる。
でも、“もうすぐ終わる”。
だって、生きてる意味を、自分で否定しちゃったもの。
A:生きる意味なんて、あったのか?
希望なんて、刺してくるだけじゃないか。
近づいて、笑って、裏返って……刺してくる。
B:それが、人間よ。
光に手を伸ばしても、影がずっと下にいる。
前に進もうとすればするほど、過去に足を掴まれる。
だから――失敗する。
(長い沈黙)
A:それでも、生きたいと思ったんだ。
たとえ……何も残らなくても。
でもこの感情さえも、裏切るんだろ? 俺を。
B:そう。
人間性は、優しさよりも先に、君を否定する。
だってそれが、君自身だったんだから。
(終幕。音が静かに消える)
声劇台本サイトと相性抜群!収録・創作に役立つアイテムをご紹介
声劇台本の制作や投稿を日々行っていると、「実際に演じてみたい」「録音して公開してみたい」と思う方が多いはずです。そんな皆さんの活動をより豊かに、より本格的にするためのおすすめアイテムをご紹介します。
僕自身も、声劇台本を書くだけでなく、実際に音声化された作品を聴いたり、簡単な編集をしたりする中で、「このマイク良かった!」「この本は脚本の書き方に参考になった!」と思えるものをいくつかピックアップしました。
🎙おすすめその1:まずはマイク!初心者〜中級者まで安心の定番
声劇を音声化するにあたり、まず大切なのがマイクです。スマホでも録音できますが、マイク一つで「声の説得力」や「世界観の伝わり方」が大きく変わります。
▶️Blue Microphones Yeti USBマイク
🎧 https://amzn.to/4ky0ACh
USB接続で簡単に使えて、配信者や声優志望の方にも人気のモデル。集音モードも4種類から選べるため、声劇のバリエーションにも対応できます。
▶️オーディオテクニカ AT2020 コンデンサーマイク
🎙 https://amzn.to/4n565Kq
価格と性能のバランスが取れていて、「一歩プロに近づきたい!」という方におすすめのマイクです。音の輪郭がクリアで、セリフの抑揚や感情も丁寧に拾ってくれます。
🎧おすすめその2:編集にもチャレンジしたい方へ
収録後のノイズ除去やBGMの挿入など、簡単な編集ができるだけで「作品の完成度」が一気に上がります。
▶️Wondershare Filmora 動画編集ソフト(買い切り版)
💻 https://amzn.to/3Zj8W8l
映像付きの声劇(YouTube投稿用など)を目指すなら、直感操作ができるFilmoraが圧倒的におすすめ。買い切り型でコスパも◎。
Wondershare Filmoraは、買い切り型で使える動画編集ソフトです。特に声劇台本の音声編集や、シンプルな動画作成にはぴったりのツール。価格も比較的抑えられていて、コストパフォーマンスの良さが魅力です。操作画面は直感的でわかりやすく、初心者の方でもすぐに使いこなせる設計になっています。さらに、定期的なアップデートもあり、機能の進化や安定性の面でも安心感があります。「動画編集に挑戦してみたいけど、難しそう…」という方にもおすすめできる信頼性の高い編集ソフトです。
声劇台本を書くにあたって参考にした書籍のご紹介
僕が作成している声劇台本には、いくつかの作品や作家から影響を受けた部分があります。たとえば、村上春樹の静かで深く沈んでいくような内面描写や、夢と現実のあわいを漂う感覚。太宰治の人間の弱さや孤独に向き合う視点、そして新海誠作品のような、言葉にならない想いを風景や間で表現する技法。これらの作家や作品から受けたインスピレーションを、自分なりに消化しながら台本へと落とし込んでいます。読む方や演じる方にとっても、どこかでそれらの面影や空気感を感じていただけたら嬉しいです。物語の背後には、こうした文学や映像作品の影がひっそりと息づいています。
この声劇台本を見つけてくださって、ありがとうございます!作品を通して、少しでも何かを感じていただけたら嬉しいです。今後も定期的に新しい声劇台本を公開していく予定なので、ぜひ次回作も楽しみにしていてください。当サイトで公開している台本はすべてフリー台本です。特に使用ルールなどはありませんが、ご利用いただいた際には、SNSや配信アプリ、動画の概要欄などでこの台本ページをご紹介いただけるととても励みになります。今後とも、どうぞよろしくお願いします。
![]()





