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バッドエンドな声劇台本|掛け合い劇『危険な私たち』―人間性の闇を描く3000字ドラマ

🎭 台本説明

バッドエンドな声劇『危険な私たち』は、二人の登場人物が「何が本当に危険なのか」という人間的な問いを軸に、逃れられない選択と破滅的な結末へ向かうダークな物語です。
舞台は、とある隔絶された施設。命の取引を前提とした“安全な管理社会”に生きる二人の青年が、それぞれに「自分らしさ」や「自由」を求める中で、次第に社会や互いを傷つけながら崩壊していきます。
キーワードは「バッドエンド」「汚染」「黒い」「短命」「刺す」──それはすべて、人間の欲と恐れから生まれる歪んだ産物。
言葉の応酬と感情のすれ違いの中、最後に残るのは、人間性の否定と、前進の無力さ。
この物語は、聴く人に「生きることの危うさ」と「自分の選択がもたらす痛み」を鋭く突きつけます。

  • 商用利用可能(フリー台本です。さまざまな場面でご使用ください。)
  • バッドエンドな作品です。
  • 動画化・音声化・朗読など、形式自由。
  • 事前連絡やクレジット表記は任意ですが、SNSなどで当ページをご紹介いただけると励みになります。

バッドエンドな声劇台本|掛け合い劇『危険な私たち』―人間性の闇を描く3000字ドラマ

🎭声劇台本『危険な私たち』

登場人物
●カイ(静かな青年/思考が内向き/自己を信じきれない)
●ミナト(明るく見えて冷静/皮肉屋/すべてを見通すような語り口)

(SE:雨音。重たい扉が閉まる音)

カイ
「ねえ、ミナト。…“危険”って、なんだと思う?」

ミナト
「唐突だな。毒ガスとか? 刺されたり、崖から落ちたり?」

カイ
「違う。俺が言いたいのは……もっと、人間らしい危険。」

ミナト
「ふふっ、たとえば?」

カイ
「誰かを信じること。誰かを守るって決めること。それがさ、一番、危険なんじゃないかって。」

ミナト
「わかるよ。その“守りたい”って感情が、いつか君を壊すって話だろ?」

カイ
「そう…俺は、もう壊れかけてる。自分の“らしさ”を守ろうとして、全部、手遅れになってる。」

ミナト
「君の“らしさ”って、なに?」

カイ
「優しい人間でいたい。でも、それが汚染されてきてるんだ。黒く、重く、誰かを刺したくなるような気持ちに塗りつぶされてく。」

ミナト
「君が殺したのは自分自身だよ、カイ。最初に“選択”した瞬間から。」

カイ
「やめてくれ。わかってる。でも、止まれなかったんだ。」

(SE:鼓動。少しの沈黙)

ミナト
「人間って、前に進もうとすると、必ず後ろから自分自身が足を引っ張ってくる。ほら、“本当にそれでいいの?”って。」

カイ
「俺は、もう誰かを信じることができない。でも、それが一番欲しいことだった。」

ミナト
「皮肉だね。信じられないほど信じたから、裏切られて、刺された。そして今、君は刺す側に立とうとしてる。」

カイ
「……俺は“危険”な存在になったのか?」

ミナト
「ずっと前からだよ。君が笑っていたあの日から、もうその種は撒かれてた。」

(SE:ゆっくりと呼吸の音。遠くで機械音)

カイ
「ねえ、ミナト。もし君が俺を止めてくれたら、全部…変わったと思う?」

ミナト
「変わらない。なぜなら、人間って、自分の中の“黒い選択”を信じたくなる生き物だから。」

カイ
「怖いな……」

ミナト
「でも、真実だよ。そして、それが“私たち”の終わり方。」

(SE:乾いた銃声。静寂。)

(SE:雨の音が遠ざかる。余韻だけが残る)

END

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声劇台本を書くにあたって参考にした書籍のご紹介

僕が作成している声劇台本には、いくつかの作品や作家から影響を受けた部分があります。たとえば、村上春樹の静かで深く沈んでいくような内面描写や、夢と現実のあわいを漂う感覚。太宰治の人間の弱さや孤独に向き合う視点、そして新海誠作品のような、言葉にならない想いを風景や間で表現する技法。これらの作家や作品から受けたインスピレーションを、自分なりに消化しながら台本へと落とし込んでいます。読む方や演じる方にとっても、どこかでそれらの面影や空気感を感じていただけたら嬉しいです。物語の背後には、こうした文学や映像作品の影がひっそりと息づいています。

一人称単数 文春文庫 村上春樹(著)
晩年 (新潮文庫)
晩年 新潮文庫 太宰治(著)
小説 言の葉の庭 (角川文庫)
小説 言の葉の庭 角川文庫 新海誠(著)

この声劇台本を見つけてくださって、ありがとうございます!作品を通して、少しでも何かを感じていただけたら嬉しいです。今後も定期的に新しい声劇台本を公開していく予定なので、ぜひ次回作も楽しみにしていてください。当サイトで公開している台本はすべてフリー台本です。特に使用ルールなどはありませんが、ご利用いただいた際には、SNSや配信アプリ、動画の概要欄などでこの台本ページをご紹介いただけるととても励みになります。今後とも、どうぞよろしくお願いします。

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seichan

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