一人声劇台本:衰運-スイウン-
衰えてゆく運命・傾向。
- 一人声劇台本
- 5分読了
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○どれだけ暴言を吐かれても、
私は耐える。
言い返すことはしない。
母から「何を言われても、礼を大事にしなさい。」と教えられたから。
どれだけ蔑まされても、
私は弱音を吐かない。
父から「誰しもが、お前と同じように裕福ではない。」と教えられたから。
私は、言葉を持っている。
しかし、自分の言葉を表現することは無い。
誰しもが、私の言葉に耳を澄ませるように。
今までの私という拙い人生の中で、
幸福と不幸の比率は平行なのだろうか。
いや、きっと不幸の方が多い重量だろう。
しかしながら、それでいて私は幸福を勝ち取ったと言える。
不幸を言葉にしない人間はたくさん居て、
その多くが、周囲の人から耐え忍んでいる消極的な人間と位置付けられている。
しかし、それは間違いだ。
幸福とは、真の幸福とは、
不幸をそっと笑顔で隠せることを言うのだから。
だから、私は今日も不幸を隠して生きるのです。
その内側から徐々に、シミが広がっているように不幸が浸食していることを知らずに。
身体の中を蝕んでいくシミはいつしか感情となり、表情となり、涙になって、
身体の外へ吐き出されていきました。
詩から声劇台本を考える
声劇台本を作成する前にまず詩を考えます。今回の声劇台本のもとになった詩をご紹介します。
幸福な人というのは
自分の不幸を
笑顔で隠せる人である
声劇台本を書くにあたって参考にした書籍
僕が作成した声劇台本にはインスピレーションを受けた事象や書籍があります。それらの書籍を簡単にですが、ご紹介します。