一人声劇台本:一縷-イチル-
蜘蛛の糸の別称です
- 一人声劇台本
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○ここは地獄である。
発する言葉は全て理解され、
行うことは全て肯定される。
他人へ悪口を言っても尚、賞賛され、
あからさまに社会の理から外れた行いでも、
価値があると評価される。
ここは地獄である。
悪への理解は皆無である。
しかしながら、悪を知らない訳ではないらしい。
悪を知っていて、皆、それを賞賛している様子だ。
私は悪人。現世では私は100人を殺した。
また、様々な物を盗み、皆から揶揄された。
この揶揄や叱責や罵倒が心地よかったのである。
それを今、この世で理解した。
金が欲しいから金を盗んだのでは無い。
人が憎くて人を殺したのではない。
皆から悪評を頂きたいがために、倫理を超えて常軌を逸した行動をしたのだ。
私は今、この世にとても不満を覚えている。
他人を殺しても、誰にも咎められない。
物を盗んでも、自分の評価が地の底へ落ちない。
私は、不満だ。
この世はとても退屈である。
この世から逃れたい思いで、煉獄を目指した。
煉獄とは天国と地獄の狭間である。
煉獄は悪を悪、善を善と区別する文化があるという。
悪を叱責することで、善の意味を知り、
善を評価することで、悪の存在を嘆くらしい。
どこぞから垂れ落ちた蜘蛛の糸を辿り、
私は、地獄から逃れ煉獄を目指した。
しかし、地獄の連中は、
「煉獄はお前には無理だ。」
「やめておくべき」
「今のままでいいじゃないか」
「蜘蛛の糸は危うい。進むのをやめるべき」
と、口々に言う。
皆が足を引っ張ったため、
私は、志半ばで地獄に転落していった。
詩から声劇台本を考える
声劇台本を作成する前にまず詩を考えます。今回の声劇台本のもとになった詩をご紹介します。
地獄に暮らす。
ここでは、人々は
足をお互いに引っ張り合うようだ。
声劇台本を書くにあたって参考にした書籍
僕が作成した声劇台本にはインスピレーションを受けた事象や書籍があります。それらの書籍を簡単にですが、ご紹介します。