You are currently viewing 一人声劇台本:一縷-イチル-

一人声劇台本:一縷-イチル-

一人声劇台本:一縷-イチル-
蜘蛛の糸の別称です
  • 一人声劇台本
  • 5分読了
  • 商用利用可能(さまざまな場面でご使用ください。)

○ここは地獄である。

発する言葉は全て理解され、

行うことは全て肯定される。

他人へ悪口を言っても尚、賞賛され、

あからさまに社会の理から外れた行いでも、

価値があると評価される。

ここは地獄である。

悪への理解は皆無である。

しかしながら、悪を知らない訳ではないらしい。

悪を知っていて、皆、それを賞賛している様子だ。

私は悪人。現世では私は100人を殺した。

また、様々な物を盗み、皆から揶揄された。

この揶揄や叱責や罵倒が心地よかったのである。

それを今、この世で理解した。

金が欲しいから金を盗んだのでは無い。

人が憎くて人を殺したのではない。

皆から悪評を頂きたいがために、倫理を超えて常軌を逸した行動をしたのだ。

私は今、この世にとても不満を覚えている。

他人を殺しても、誰にも咎められない。

物を盗んでも、自分の評価が地の底へ落ちない。

私は、不満だ。

この世はとても退屈である。

この世から逃れたい思いで、煉獄を目指した。

煉獄とは天国と地獄の狭間である。

煉獄は悪を悪、善を善と区別する文化があるという。

悪を叱責することで、善の意味を知り、

善を評価することで、悪の存在を嘆くらしい。

どこぞから垂れ落ちた蜘蛛の糸を辿り、

私は、地獄から逃れ煉獄を目指した。

しかし、地獄の連中は、

「煉獄はお前には無理だ。」

「やめておくべき」

「今のままでいいじゃないか」

「蜘蛛の糸は危うい。進むのをやめるべき」

と、口々に言う。

皆が足を引っ張ったため、

私は、志半ばで地獄に転落していった。

詩から声劇台本を考える

声劇台本を作成する前にまず詩を考えます。今回の声劇台本のもとになった詩をご紹介します。

地獄に暮らす。
ここでは、人々は
足をお互いに引っ張り合うようだ。

声劇台本を書くにあたって参考にした書籍

僕が作成した声劇台本にはインスピレーションを受けた事象や書籍があります。それらの書籍を簡単にですが、ご紹介します。

一人称単数 文春文庫 村上春樹(著)
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)
ノルウェイの森 上 講談社文庫 村上春樹(著)
晩年 (新潮文庫)
晩年 新潮文庫 太宰治(著)
小説 言の葉の庭 (角川文庫)
小説 言の葉の庭 角川文庫 新海誠(著)

seichan

声劇台本-Fullcityはバッドエンドな声劇台本をご提供いたします。

コメントを残す

CAPTCHA