一人声劇台本:逸出-イッシュツ-
ぬけ出ること。
- 一人声劇台本
- 5分読了
- 商用利用可能(さまざまな場面でご使用ください。)
○私は「逃げた」
どうしても嫌だったの。
「あの人が私を嫌い」とか「あの人が私の悪口を言っていた」とか。
もうあの界隈には近づきたくない。
私は、もう戻らない。
あんな界隈に。
独りぼっちが嫌で入った界隈という「世界」で
悪口と嫉妬は私の個性を奪い取りつつある。
私は悪口や嫉妬を買うために言葉を紡いでいるんじゃない。
私は嬉しいことや楽しいこと、優しい人に出会うために、
皆とお喋りしたいの。
けれど、結果は悪口と嫉妬の最中にいる。
嬉しいことや楽しいこと、優しい人にも当然出会えたけど、
私は、そんな人たちからも逃げたいと思ってる。
そんな優しくしてくれた人たちからも逃げるなんて、私はなんて最低なんだろう。
一人が私を悪くいっていれば、
その隣に居る、優しい人まで偽善の言葉をもって私に接しているように感じる。
そう感じている時点で、私はきっと恵まれないんだろう。
私は、あの界隈を離れた。
離れて、優しい世界に会った。
言葉が優しく、嬉しい出来事がずっと続く居場所。
それに呼応するように、私も慎重に言葉を並べて、
皆に優しい時間を提供した。
それでも、ずっと付いてくるんだ。
「逃げた」ことがる過去が。
「過去は過去」皆そう言う。
今を見ていればいい。そう皆は言った。
優しい言葉だけど、私は「逃げた」過去を拭いきれずにいた。
「逃げた」ことは仕方なかったことだけど、
「逃げる」選択をしたのは私。
優しい時間は「逃げた」現実が足枷になって、
ゆっくりと重い時間になっていった。
「この界隈からも逃げたい。」
いつの間にか、逃げた先の優しい世界にも居心地が良くなくなっていた。
ついには、自分を悪く言う界隈と自分へ優しい界隈は
どこか知らない土地へと様変わりしてしまった。
「逃げた」ことに何でこうも私は否定的何だろう。
「逃げる」ことに何でこうも私は恐怖を覚えるんだろう。
「逃げた」先の人や事をどうして大切に出来なかったのだろう。
気づいたときには、どちらの世界も消え去って、
私はまた独りぼっちになりました。
詩から声劇台本を考える
声劇台本を作成する前にまず詩を考えます。今回の声劇台本のもとになった詩をご紹介します。
私は「逃げた」
随分と「逃げた」ことに否定的な私
逃げた先にあった出来事、出会った人、
それらを私は蔑ろにしてしまった。
私は逃げた。全てから。
声劇台本を書くにあたって参考にした書籍
僕が作成した声劇台本にはインスピレーションを受けた事象や書籍があります。それらの書籍を簡単にですが、ご紹介します。