一人声劇台本:披見-ヒケン-
書面などを開いて、見ること。
- 一人声劇台本
- 5分読了
- 商用利用可能(さまざまな場面でご使用ください。)
○本を読むことが好きだ。
本はどの国にも、どんな空間にも行ける。
また、どんな人にも会えて、どんな人にも成れる。
本が好きだ。
自分を変えてくれる本が好きだ。
今の現状から飛び立たせてくれる本が好きだ。
語ったり、語られたりしよう。
怒ったり、悲しんだりしよう。
喜んだり、嬉しがったりしよう。
本の中でしかできない事をしよう。
そう。僕は本の住人になった。
いつでも国外へ行けて、
いつでも好きなことをして、
いつでも他人に成れる。
言葉と言葉の世界で、
完璧な世界で、
僕は言葉を操れるようになっていった。
本を閉じると、
そこには虚空があった。
空しい虚数の限界があった。
言葉を投げかけても、
何も言葉を紡げない。
僕はまた、本の世界に閉じこもる。
そこには虚空は見つからない。
なんでも手に入り、
なんでも具現化でき、
なんでも仕入れることができる本には、
虚空を作り出すことは出来なかったようだ。
虚空に会いに行きたくて、
本を閉じる。
空虚な間が延びていた。
言葉とは虚空を隠すものと知った。
空虚な時間を隠す時間と知った。
本を読まない人は、
きっと今、幸せなんだろう。
詩から声劇台本を考える
声劇台本を作成する前にまず詩を考えます。今回の声劇台本のもとになった詩をご紹介します。
本は
飛行機よりも遠くに
自分を運んでくれる
声劇台本を書くにあたって参考にした書籍
僕が作成した声劇台本にはインスピレーションを受けた事象や書籍があります。それらの書籍を簡単にですが、ご紹介します。