一人声劇台本:扇風-センプウ-
風をあおり起こすこと。風にあおられること。
- 一人声劇台本
- 5分読了
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○僕は壊れてしまった。今日で役目はお仕舞。
冷たい言葉を掛けたけど、
暖かい家庭を持った。
暖かいが暑いに変わった瞬間にみんな僕を頼ったっけ。
実は、あの冷たい言葉は僕が作った言葉じゃないんだよ。
みんなの暑い言葉を循環させただけ。
暑いを言い換えただけ。冷たいに。
だから僕は実は冷たくない。
どちらかと言えば、
ちょっと熱い奴。
みんなを冷やすのは、ちょっと熱かったけれど、
みんなの冷ややかな目を浴びながら
僕は暑さを貰ったから、冷たさを提供した。
風を、新しい風を提供したんだ。
けど、この役目も、もう終わりの様だ。
僕はみんなに冷たい言葉を掛けすぎて
言葉を廻すのに疲れてしまった。
動かなくなった僕を見て、
みんなから冷たい言葉を貰ったけど、
これで同じだね。僕はちょっと熱くなりすぎた。
熱くなった僕は、
みんなの家を出て、今ごみ処理場にいる。
暑い言葉も、冷たい言葉も、暖かいみんなも居ないのは寂しい。
風をみんなに贈るのは、冷たいけど、暖かかった。
ごみ処理場で風が通り抜けた。
それは言葉ではなかったけど、包み込まれる包容力があった。
僕の羽は今にも飛び立ちそうだった。
詩から声劇台本を考える
声劇台本を作成する前にまず詩を考えます。今回の声劇台本のもとになった詩をご紹介します。
道端で廃棄を待ちながら
本物の風に初めて出会う
扇風機
声劇台本を書くにあたって参考にした書籍
僕が作成した声劇台本にはインスピレーションを受けた事象や書籍があります。それらの書籍を簡単にですが、ご紹介します。