廻る-メグル-
一周するように回る。回ってまたもとにもどる。「―因果」あちこちを回り歩く。「名所を―」
- 二人声劇台本
- 5分読了
- 商用利用可能(さまざまな場面でご使用ください。)
○命の重さについて考えたことはあるかい?
×日本には道徳の授業があるからね。考えたことはあるし、実感したこともあるよ。
命ってとっても尊くて、何物にも侵されちゃいけないものだよね。
○うん、命は尊い。それは自分でもわかっているんだ。
それでも…
×それでも…?
○命の重さってなんだか全部一緒に思えないんだ。
×どういうこと?例えば猫みたいな動物と私たち人間の命の重さが違うって言うの?
それはひどい考えよ。
○いや、全く違うんだ。種族が違っても命の価値が変わることは無いと思ってる。
×じゃあ、「命の重さが一緒に思えない。」ってどういうこと?
○君は僕が死んだら、悲しい?
×えぇ、悲しいよ。
○どんな風になって僕の死を悼んでくれる?
×泣くかもしれないわ。とってもね。
○それはとても嬉しいよ。
じゃあ、遠くの国…例えばアフリカの男の子が飢餓で死んだら、君は泣いているかい?
×いいえ、飢餓って怖いんだなくらいには思っているけど。
○うん、そうだよね。僕は君が死んだら、とても悲しい。
けど、どこかの土地のどこかの誰かが死んだところで、
僕は何も感じないんだ。
それが危機感を持たなくてはいけないのか、
それとも当然のことなのか。
僕にはわからないんだ。
×遠くの人間のことなんて、知ったことじゃないと思う。
○違うんだ。遠くじゃなくても、
例えば、アフリカの男の子じゃなくても
近所のお爺ちゃんが亡くなっても何も感じないんじゃないかな。
×そうね。知り合いでもなければ…
○これって、自分からの距離が、心と心の距離が近くないと命を実感できないないんじゃないかと思って。
逆に言えば、その距離が遠いほど、命の重さって軽いんじゃ…
×馬鹿ね。
命の重さは皆な平等よ。
考えすぎよ、アナタ。
ただ、忙しいだけ、今のアナタみたいに。
忙しくて、他人も自分も見えなくなっているだけ、
アナタは他人の命に興味を持った。
それは素晴らしいことよ。
○日本で一人が殺されたら、大事件なのに、
アフリカで子供たちが千人殺されても、
世界は回り続ける。
僕はそんなことに無関心だったのが、辛いよ。
詩から声劇台本を考える
声劇台本を作成する前にまず詩を考えます。今回の声劇台本のもとになった詩をご紹介します。
命の重さは目に見えるんだ。
それは距離に関係している。
自分から最も近い距離の命はだいぶ重くみえる。
けれど、距離が遠のくほど、
重く見えなくなってしまうんだ。
声劇台本を書くにあたって参考にした書籍
僕が作成した声劇台本にはインスピレーションを受けた事象や書籍があります。それらの書籍を簡単にですが、ご紹介します。