畢生-ヒッセイ-
生を終える時までの間。終生。一生。
- 一人声劇台本
- 5分読了
- 商用利用可能(さまざまな場面でご使用ください。)
○昔むかし、あるところにお爺さんが居ませんでした。
そしてお婆さんも居ませんでした。
桃太郎も川からやってこなかったし、
鬼も居ませんでした。
悪さもありません。
善もありません。
そこには何もありませんでした。
しかし、言葉が一つあったとさ。
「死にたい。」
この言葉は寂しくて、言葉を作りました。
必死に言葉を生みたくて、考えて考え抜いた結果、
一緒に居て心地良い言葉を作りました。
「生きたい。」
「死にたい。」がどうしても言ってみたかった言葉を作りました。
しかし、「生きたい。」は生まれた途端辛そうにしていました。
「死にたい。」
「生きたい。」が初めに発した言葉は自分の名前でした。
「死にたい。」はどうして死にたいのか「生きたい。」に聞きました。
「反対の言葉を言えば辛くなくなるかなって。」
「生きたい。」は「死にたい。」と同じ考えでした。
そして「死にたい。」も「生きたい。」と同じ想いでした。
「死にたい。」は生き方を山へ借りに行き、
「生きたい。」は川で生きる意味を選択していました。
ある時、どんぶらこ、どんぶらこと
川から人生がやってきました。
「死にたい。」と「生きたい。」はその人生を割ってみました。
「死にたい。」はそれから一時の生を実感し、
「生きたい。」は命の使い方を知りながら、
「死にたい。」と「生きたい。」は同じ心に住んで一人の人生を歩んだとさ。
詩から声劇台本を考える
声劇台本を作成する前にまず詩を考えます。今回の声劇台本のもとになった詩をご紹介します。
昔むかし、あるところに
お爺さんとお婆さんが居ました。
声劇台本を書くにあたって参考にした書籍
僕が作成した声劇台本にはインスピレーションを受けた事象や書籍があります。それらの書籍を簡単にですが、ご紹介します。