自尽-ジジン-
自分の命を尽きさせること、つまり自殺。
- 一人声劇台本(台本参加人数1人)
- 3分読了
- 商用利用可能(さまざまな場面でご使用ください。)
○死にたい。
僕は死にたい。
仕事も恋人も家族も、もうどうでもよくなってしまった。
借金をしているわけでもなければ、失恋したわけでもない。
だけど、死にたい。
一体、僕はなんてことを考えているんだ。
恐ろしくて、おぞましい。
けど、もうやり切れない。
僕は死にたい。
なんで「死にたい」なんて馬鹿なことを考えているんだっけ。
そう、「馬鹿な」って考えてしまったからだ。
死ぬことは馬鹿のすることだ。
そこを考えてしまった。それはとても高貴な発明といっても良い。
僕は「馬鹿」になりたくなくて「馬鹿」を考えてしまった。
死ぬことから一番離れた自分が「死ぬこと」を考えてしまった。
なんでだっけ。
あぁ、そうだ。死にたいと思ったことが無い自分は「死にたい」と思っている他人を理解したくて考えてしまったんだ。
「死ぬこと」を。
「死ぬことを考える。」つまり馬鹿ではない僕は、「生きること」を考えてしまった。
「生きること」は、つまり仕事場の仲間に知ってもらうこと、恋人と想いを確かめ合うこと、家族と思い出を作ること。
そう、「生きること」というのは、誰かの記憶に間借りさせてもらうこと。
逆に言えば、誰かの記憶の間借り部分から退出することこそが「死」なんだ。
長い年月が経って、人は死に、長い年月が経って人は忘れられる。
それが生きたことを証明する「死」だ。
僕は今、とんでもないことを考えてしまっている。
この間借りした部分からそっと消え失せたら、僕は死ぬのかしら。
詩から声劇台本を考える
声劇台本を作成する前にまず詩を考えます。今回の声劇台本のもとになった詩をご紹介します。
生きるとは誰かに記憶されていること。
死ぬとは誰かに忘れられたこと。
自殺は誰かの記憶から去ること。
声劇台本を書くにあたって参考にした書籍
僕が作成した声劇台本にはインスピレーションを受けた事象や書籍があります。それらの書籍を簡単にですが、ご紹介します。